02:雑貨屋 プチミュゼ

いつお店を知ったのか記憶が定かではないけれども、確かなのは1つ。

「J’ai onze ans. 11歳の夏休みへ。」

ネットで見つけたこのフレーズこそが、私が雑貨屋プチミュゼに興味を覚えたきっかけだ。

当時個人的ブログをつづっていた私は、ネットの海にちらばる素敵なあれこれを吸収するのに夢中だった。
色んな雑貨屋さんや文房具屋さんを探しては、オンラインで買い物したり、実店舗があれば足を運んでみたり。

世の中には、こんなにかわいくてすてきなモノたちがたくさんあるんだ!

あの頃の私は、本当に雑貨に恋していたと思う。
雑貨への恋心から、処女著書『写真でつくる雑貨』が生まれたと言っても過言ではないかもしれない。

ともあれ、雑貨屋 プチミュゼさんについて。

プチミュゼさんが主催するイベント「J’ai onze ans. 11歳の夏休みへ。」は
西荻窪にある一軒家ギャラリーで行われていて、どこか屋根裏部屋で行われる
知る人ぞ知る秘密の集いのような、そんな香りがした。
そこに集められていたのは、フランスの11歳の子どもたちが夏休みに楽しんだであろう、
ちょっとユニークで、かわいくて、遊び心のある紙モノたち。

そのイベントに友人と足を運んでからというもの、雑貨というカテゴリーの中でも、
特に古いモノ、古い紙たちの魅力に初めて気付いた。

化粧瓶に貼られていたラベル、誰かが誰かにあてた古い手紙、手書きの楽譜、黄ばんだノート、
透け感がかわいい小さな紙袋、デザインが美しい紙箱・・・

プチミュゼ店主・久保木さんが紹介する古い紙たちは、どれも美しく、それぞれ心を持っている。

そんな風に自然に思えるほど、久保木さん自身が“紙を慈しんで”いる。

数年前、広島のとある古い文房具屋さんを訪れたときに、そこの店主であるおばあさんが
「和紙はいいねえー・・・」と、美しい色合いの和紙を愛おしそうになでていたことを思い出した。

紙を愛で、慈しむ。だからこそ紙たちがこころを持つ。

「J’ai onze ans. 11歳の夏休みへ。」のイベントが開催されたのは2007年だから、
雑貨屋 プチミュゼさんを知ってからかれこれ7年近く経っていることになる。

その後、「フランス、古い紙のこころ」や「グラヴールスターンの紙の世界」、「フランス、古い紙の愉しみ」
などいくつかのイベントが主に吉祥寺で行われ、そのつど足を運んでいたが、小平にある実店舗を
訪れる機会がなかなかできないまま数年が経過。
その間、私は著書を何冊か出版し、3冊目の著書『たいせつなものを撮ろう、残そう』でお店の掲載許諾を
お願いすることになり、初めて仕事上でのつながりができた。

そして2012年7月、写真企画室ホトリを浅草橋にオープン。
同年11月に、台東区のイベント「SPEAK EAST!vol.3」に参加することになり、そこで
「ホトリ紙市」をやろうと、プチミュゼさんの古い紙たちを販売させてもらった。

プチミュゼ店主・久保木さんは、毎年フランスに渡って買い付けをしているイメージがあるけれども、
仕入れ・買い付けは、特に国や時代に拘らずに探しているそうだ。
現代の物は、国内の業者にお願いすることが多いそうだが、古物、特に紙モノとレースは、
フランス内を回って探しているとのこと。フランスの紙たちに、久保木さんが魅せられている所以だ。
だが紙に限らず、久保木さんが見つけるたびに心が躍るモノは少なくない。
暮らしに取り入れたら素敵と感じるモノ、ちょっと変てこで可笑しいモノ、作られた時代や背景を感じさせる美しいモノ。
どれも大好きで、その都度感動する。心が躍る。久保木さんはそんな自分を「欲張りなんです」と語る。

今まで出会った、印象的エピソードはありますか?と訪ねてみた。すると、「古い紙モノに夢中になるきっかけ」
という答えが返ってきた。どういうことだろう?

「かれこれ6、7年くらい前のことですが、パリの蚤の市近くの路上で、おじさんが色んなものを売っていたんです。
半分に折った新聞紙くらいの大きさの布の上に並んでいるのは、照明の傘やインク瓶、おじさんの顔がモチーフの(!)ピンバッジなど。
なんだかラインナップが不思議なんだけど、でもとっても魅力的で、思わずその時色々大人買いしてしまって。
そしたら、最後に出された領収証のメモが古くて味のある紙で、“これ、いいね”とおじさんに伝えました」

久保木さんの言葉に、おじさんはこう答えたという。

「紙は好き?」

当時の久保木さんは、一般的な雑貨屋さん程度の紙を仕入れる程度で、今ほど古い紙モノ好きではなかったそうだが、
おじさんの問いに「Oui(はい)」と答えると、住所が書かれた紙をくれた。

「たくさんある紙を見せてあげる!」

とはいえ、初対面の見知らぬ男性ということもあり、ちょっとあやしいな、と思いつつその場を後にしたが、
なんと、その同じ日の数時間後に、そのおじさんとばったり遭遇。
びっくりしていたら、おじさんいわく「月曜においで」とのこと。
うーん、こんなシチュエーションで本当に行くかどうかは、度胸とその日の気分次第か。

そして、名残惜しくもパリ最終滞在日となり、その日は運命の(?)月曜日。
せっかく誘ってくれたし、今日は月曜日だし、ということで、一緒に来ていた友人と
勇気を出してその住所に行ってみることにした久保木さん。

なんとかおじさんと再会を果たし、彼が案内してくれた納戸に眠っていたものは、空間を埋め尽くすほどの紙、紙、紙!!!

箱に入った古い封筒セット、美しい包装紙、アンティークのカード・・・

雑貨屋店主として、文房具などの紙類は見慣れた久保木さんだったが、そこで彼女が目にしたものは、
いままで目にしたこともないほどの膨大な種類の古い紙たちだったという。

ちなみに、そのアパルトマンと納戸は、おじさんの恋人(注:男性)の持ち物だったそうで、
3か月後再びパリを訪れた久保木さんを、彼自身の家にも招待してくれたそうだ。
その出来事以来、おじさんと久保木さんは、趣味の合うお友達としてつながっているとのこと。

パリの蚤の市近くの路上でおじさんが使っていたメモ紙から転がって、さまざまな縁が繋がっていった、
まさに紙からつながる運命のようなストーリー。
縁がつながりを呼び、そのつながりでまた縁が生まれる。

そして私自身、久保木さんとつながりができてから数年後の2012年、ずっと行けずじまいだった
小平の実店舗をようやく訪れることができた。

 
看板猫の、シャンソン君&ギタール君。

Twitterなどでずっと見ていた看板兄弟猫ちゃんたち(シャンソン君・ギタール君兄弟)との
念願の対面も叶い、彼らをはじめ、お店のすてきな様子も写真におさめることができた。やっと!やっとである。
また最近は都心の骨董市にも出店されていて、2014年の年明け、久々にお話しすることができた。
営業日やイベント出店、また商品の更新など、お店の形態も変わっていくそうで、
今後のプチミュゼとしての在り方も気になるところだ。

今後、雑貨屋 プチミュゼとしてやりたいことを聞いてみた。

「美しさに惚れ惚れするようなお品と、当り前に使い良い暮らしの道具。その両方で、
その方なりの日常が豊かに思える提案を、小平の小さなお店から出来たらと思っています」

本当によいと思うもの、すてきだと感動したモノを紹介し続けている久保木さん。
肩肘張らず、自然体な彼女の周りには、たくさんのすてきなお店や作家さんたちが集まる。
実際、一昨年の取材撮影日には、プチミュゼ常連さんはもちろん、久保木さんとつながりのある
作家さんなど多くの方々が来店していた。
実際にお店に並ぶモノたちの素敵さ、久保木さんのセンスはもちろんのこと、
18年もお店を続けてこられた久保木さんの人柄がすてきなつながりを呼ぶのだろうと思った。

ちなみに、さらにその次の夢は、「小さな可愛いバン(営業車)を買って、古い紙とアンティークレースと
自家焙煎珈琲を積んで、全国を回ること」だそうだ。

久保木さんなら、いつの間にやら、という感じでこっそりその夢を叶えている気がする。



プチミュゼさんの豆本には、もちろんお店でゲットした紙モノを表紙にあしらうことに。
グラシン紙をカバー代わりに巻いて、透け感を楽しむデザインに。


お店のサイトから拝借した店名ロゴを、ラベル素材にプリントしてぺたり。


裏表紙には、もちろんシャンギギコンビを。
ばっちりこちらを向いているツーショットがないのが心残り・・・。

 


中は、プチミュゼさんの店内の様子と、

 


もちろんシャンギギ君たちも。かわいかったなあ。

というわけで、実店舗も、オンラインショップもぜひ!
今年も、色々イベントが予定されているそうで、またホトリとも絡めたらいいな、と妄想中。

雑貨屋 プチミュゼ
〒187-0023
東京都小平市上水新町2丁目1−5
042-346-5723
http://www.petit-musee.com/

 

 

 



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