こんにちは。ホトリ室長saorinこと織田です。
昨日をもって、2024年最後の公募展となる「みんなのフォトグラビュール展」の会期が終了いたしました。
まずは、会場の様子をご覧ください。
みんなのフォトグラビュール作品が集合、圧巻です。
こうしてたくさんの作品が集まっていると、グラビュールの表現方法が多彩なのがわかります。
黒い紙に白いインクで刷っている作品、1版多色刷りの手法で、1つの版に複数のインクを乗せて刷っている作品、またインクを混ぜて独自の色を作って刷っている作品・・・
本当に手法・表現がさまざまで、皆さんの作品が眼福でした。
特に、インクジェットは白いインクというのがないので(つまりインクジェットプリントの白い部分はインクがのっていない紙の色)、白インクで刷るというのがユニークですね。
ゲスト作家の櫻井さんによると、黒い紙に黒いインクで刷って光沢で表現するというやり方もあるそうです。
白×白、白×銀なんていうのもおもしろいかもしれません。
ゲストの櫻井朋成さんの作品。
2点展示したうちの左の作品は、来年5月にルーニィ 247 ファインアーツで開催予定の個展のシリーズの新作を、特別に先行で展示させていただきました。
みのり / Les fruits de la terreestier
櫻井 朋成
フォトポリマーグラヴュール
新作。フランス、ジュラ地方のワインの中心地アルボワ。ここで中世か伝わる収穫祭Fête du biou(フェット デュ ビウ)。そこではその年に採れたブドウで大きなビウ(ブドウの房)を作って教会に奉納する。そのビウが出来てみんなに振る舞われるガレットを頬張りながらこちらを見つめるワインメーカーの娘。
この作品を含めワインを題材にした作品を2025年5月の発表予定(会場:ルーニィ 247 ファインアーツ)で作品制作が続けられている。
赤い花。森のおとぎ話 / Fleur rouge Conte de fée forestier
櫻井 朋成
フォトポリマーグラヴュール2色刷り
2024年4月に「嘆きの歌」展で発表された作品。
フォトポリマーで作った2枚の版により2色で刷った作品。
インスタで14.6万ビューを記録。
櫻井さんのご厚意で、マルシェドアートを同時開催。
試し刷り作品、時には作品にならず終わったもの、作品とは違う紙に刷ったもの、ちょこっとだけ失敗のアウトレット…などの小さな作品たちを、正規の作品よりもお値打ち価格で販売いたしました。
初日の1~2時間で、わーーーっと皆さん買い漁っていきました(笑)
たくさんあった櫻井さんの作品は、ほぼ完売!
Gokkoさんが、フォトポリマーグラビュールの実際の版と、サンプル作品をご用意くださいました。
これを見せながら、グラビュールについて何回説明したことか(笑)
では、お一人ずつ作品を紹介していきます。
(アクリル・ガラスが入っている作品の方、反射して映ってしまいすみません)
街角夜雨
めがももこ
大雪山のゼブラ
Teshi
井上 美千子
未草(ひつじぐさ)
CAVA
旅の終わりに
Natsuko
刻 〜海風とともに〜
Tomoko Takatori
オオキイクミ
高橋 みどり
tree crown
SU
hiro’s camera
夏の冒険
Ui Ootsuki
n.kodama
酔狂
岩埜もとみ
偶然、馬の作品が3名いらしたので、並べて展示。
ひそかに”ホトリの馬場”と呼んでいたエリア(笑)
オモイデスカート
ろびこ
masa*
コウザキ コウイチ
秘密の森
simarisu
幾日静寂001
s.non
麻植 泰輔 / OE Taisuke
今日も夜になる
ナカムラミホ / ちゅん子
la fleur
Komaki Akiko
行雲流水
竹端 栄
冬日 (Angenieux S21)
岡田祐二(oldlens.com)
見せてもらった岡田さんの作品のサイズ違い。街路樹が植わっている道が、インクをふき取りすぎると白っぽくなり、なんか違うなとわざとインクを残して刷ったのが↑の額装された作品だそうです。
グラビュールはそんな表現もできるのですね。
YU-KI
夏のうららの隅田川
小林 真佐子
相対性理論
美里和香慧
かえる・る・る
ひらまさ
憶う
rieky
2024-04-17
倉田義也 / Gokko
乗り換え通路
倉田香織 / Gokko
最後は、わたくし織田の作品です。
相変わらず山の写真です(笑)
明暗
saorin / 織田 紗織
こちらはよく質問されたのですが、上の写真は普通に白い紙に黒いインクで刷った作品、下は黒い紙に白いインクで刷った作品です(Gokkoさんが刷ってくださいました)
なので、ネガポジ反転した版が2つある作品です。
孤高
saorin / 織田 紗織
こちらは、黒い紙にシルバーのインクで刷った作品。
ちょうど雪山の写真で、銀のきらきらした感じがぴったりでした。
このシルバーのきらきら感がきれいだったので、そのままインクは拭かずに乾かして、せっかくなので版も展示しました。
インクが固まっているのでもう版としては使えませんが、これも一つの作品みたいだなと。
雲上散歩
saorin / 織田 紗織
こちらは今年6月に登った、立山の写真。
この雲のぽこぽこふわふわした感じが、グラビュールで繊細に表現できたかなと思います。
初日はかわいいお客さまも!
そして最終日。毎回そうですが、出展者の皆さまとギャラリートークを聞きに来たお客様で大盛況!
そして恒例のギャラリートーク。
皆さん、刷った自分の作品の話もさることながら、グラビュールに触れるきっかけもお話していて、とても興味深かったです。そういうところからのアプローチなのか!みたいな(笑)
そしてこれまた恒例、集合写真。
出展者の皆さま、Gokko倉田さん、お疲れさまでした!
「みんなのフォトグラビュール展」は、浅草・東駒形の銅版画工房 Gokkoさんと、写真企画室ホトリのコラボ企画の公募展です。
今年2月、Gokkoさんのワークショップ「写真を刷る」にホトリ室長織田が参加させていただき、グラビュールの繊細な描写、インクで写真を刷るという表現に感銘を受けました。
その際、たまたま一緒に参加していた方(グラビュール展にも参加していたriekyさん)から「公募展やってほしいです!」と背中を押され、Gokkoさんとの共同企画が実現した次第です。
フォトグラビュールとは、凹版で写真を刷るための製版における技法のこと。
凹版で写真を版画のように紙に刷った作品もそのように呼びます。
インクを版に詰めて、1枚1枚紙にプレス機で刷るからこそ生まれる、写真の版画作品と言えます。
何というか、インクで刷られたことにより、1枚の写真が物としての佇まいを持つようになるんですよね。
デジタル写真であっても、凹版を作り、インクを詰めて1枚1枚刷るからこそ生まれる、アナログな作品。
プリンターで出力した写真とは一味違う…写真だけれども版画のような、絵画のような、でもやはり写真でもある、そんなフォトグラビュールの世界。
Gokkoさんとのコラボ企画公募展という形で開催できたこと、本当にうれしく思っております。
写真企画室ホトリが窓口になって、皆さまの作品制作・表現のお手伝いができる展示イベント・ワークショップを開催するのが、室長である私の使命だと思っております。
こんな世界があるのだと、ホトリという場所から新たな発見や気づきが生まれたなら、こんなにもうれしいことはありません。
ちなみに、フォトグラビュール展は早くも来年の開催も決定しております。
今回参加された方はもちろん、ご興味を持たれた方、ぜひ自分の作品でフォトグラビュールの世界にいらしてください。
出展者の皆さま、ご来場くださった皆さま、気にかけてくださった方、ゲストとしての作品展示・そしてマルシェドアートを提案くださった櫻井さん、そして今回の企画に賛同してくださった東駒形の銅版画工房Gokkoさん、本当にありがとうございました。
2024年年内のホトリ企画の公募展は全て終了。来週以降は全て貸出の個展・グループ展が開催されます。
次は11月1日よりスタートする、大正大学 グループ展 ようこそ私の頭の中へ です。こちらは中2階も使っての写真・映像作品です。学生たちの自由な発想の作品、ぜひまたホトリ会場でご覧ください。